あらすじ
日々寡黙に仏像と向き合う土岐忠介(川野太郎)は、京都に工房を構える仏像彫刻師である。2011年3月11日、忠介はラジオから流れるニュースに我が耳を疑った。東日本大震災。娘の直子が、東松島にある婚約者の実家を訪ねているはずだった。何の連絡もないまま月日は流れる。直子が家を出るときに差していった、なでしこの花が枯れていた。その直子を想い続けて彫り上げた観音像を抱き、忠介は一人被災地に向かう。いくら探せど手掛かりすらない直子の消息。やがて忠介は、なでしこの花と直子の幻影に導かれるように、婚約者の昭と出会った。・・・